新潮四月号臨時増刊「宮本輝」19990401より
50人に聞く
宮本文学この一冊
村田喜代子
作家
ひとたびはポプラに臥す
本命は、なんといっても「蛍川」「流転の海」ですが、この際敢えて小さな声で言わせてもらうと、短編の「力道山の弟」が、なぜかとても好きです。また、小説ではありませんが、長編紀行エッセイの「ひとたびはポプラに臥す」も逸することはできません。仮に本を失くしてしまったら、必ずまた買いにゆくでしょう。作者の人生観・宗教観が混然一体となってシルクロードの風景に溶け込んでいます。