20140626毎日新聞夕刊より

 

既成概念を問い直す

 増田周子(関西大教授・日本近代文学)

            @吉村萬壱 『ポーランド病』(文芸春秋)

            A村田喜代子『屋根屋』(講談社)

            B東野圭吾『虚ろな十字架』(光文社)

(前略)

夢を自在に操れたらどんなにいいか。Aはそんな願いを実現してくれる小説だ。主婦が屋根屋から夢の操作法を教えられ、二人は夢の中で、自由に世界各地の高い塔や屋根を旅する。そのうち主婦は、高所から見下ろした一見平和な家が、実は平和世界の象徴だと気付かされる。主婦は、徐々に現実の良さを認識し、最後には幸福な夢の思い出を胸に、現実へと向かうのだった。

(後略)

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