20110113朝日新聞夕刊から

「これからも、毎晩飲んで」野間文芸賞の村田喜代子さん

『故郷のわが家』(新潮社)で野間文芸賞に決まった村田喜代子さん(65)が授賞式で喜びを語った。受賞作は九州の高原にある築80年の生家を処分するために東京からやって来た笑子さんという女性が夢うつつに思うことを描いている。

 「60歳を過ぎてからお酒を飲むことを覚えて、夫が寝た後に、独りで毎晩少しずつ飲んでいます。酔いが回ってくると、死んだ犬のこととか、悲しいことが次々に浮かんでくるのです」

 作品でも65歳の笑子さんが毎晩、寝酒の冷酒を飲んでは未明の二度寝に備える。「小説を書いてなければ、毎晩飲んで、泣いておしまいなのですが、こうして一冊の本になり、賞まで頂けて、作家冥利(みょうり)に尽きます。お祝いにお酒もたくさんいただきましたので、これからも無駄にせず毎晩飲んでいきたいと思います」

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